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木づかい.comトップ > 木づかいインタビュー > 水谷 壮市さん
Interior Architecture  Soichi Mizutani
表参道だってケヤキ並木があるから人が集まる。 木のあるところに、人は集まる。街の中に“森”を!
大工の父に反発して選んだ仕事。でも気がつけば、父と木に近い道でした。
「私の父は大工でした。小学生の頃の思い出ですが、かんなで削った木屑が作業着につくのでしょう、父が帰ってくると、木のいい匂いが家の中に広がったことを覚えています。自分の手で大きな建物を建てる父を尊敬してはいましたが、当時はバリッとした背広姿で出勤するよそのサラリーマンのお父さんがやけにカッコよく見えてね。高校生になっても若者特有の親への反発心が抜けず『自分は父と同じ職業には就かない!』とデザインの道を見つけ、今もこうしてデザイン関係の仕事をしていますが、実際のところ、木とは密接に関係のある仕事なんですよね。なあんだ、反発していたくせに結局、自分も父にとても近い道を歩いているんじゃないかと、あるとき改めて気づきました(笑い)
 実際、木をみごとに使う日本古来の建築技術は、他の国には例を見ない素晴らしいものです。たとえば釘を使わず削った木を組み合わせていく“継ぎ手”や“仕口”工法の緻密さ。これを昔の大工さんは、ノミ一本で削りだしたのです。他に使う道具もカンナや尺竿、木槌など、シンプルなものばかり。これらを使い、自分で描いた図板(ずいた)を元に建物を組み上げて行くんですね。まさに腕一本と勘で作り出す職人技ですが、この日本の建築技術の担い手が今、どんどん少なくなっているのは、残念で憂慮すべき事態です。私もデザインの分野でこの技術を残し、継承する手伝いができないかと考えています」
百年経っても木は生きている。それを計算し利用する昔の職人技を活かす。
「これまでイスやテーブルなどの家具ひとつから、建物すべての大きな空間まで、いろいろなデザインを手がけましたが、二十代から始めて今後もライフワークとして続けていきたい仕事のひとつに、福島・会津若松の、蔵のある一角を改装するプロジェクトがあります。地元の漆器屋さんがその地域に代々持っていた蔵や土地なのですが、まずはここを漆器のショールームに改装しました。基本のコンセプトは『百年経ったものを、もう百年使う』です。
以前、会津若松には蔵がたくさんありましたが、それらが次々に取り壊されていく中で、古い木材と日本古来の建築技術が活かされた蔵を後世に残しつつ、今の時代に合う使い方、見せ方をしたい、と考えました。この蔵には百年以上育った太い大ケヤキが使われているのですが、切り出して木材になってからも“生きて”いるんですね。だから反る。この蔵を立てた職人は、その木の反りを計算して、反りを屋根を支える力として利用しているんです。改装では、この大ケヤキを活かし、魅せるために、余分なものを極力取りのぞく『引き算』を念頭に置いてデザインしました。今後もこのプロジェクトを継続し、木の持つ魅力や伝統の職人技の素晴らしさ、蔵の美しさを新たに表現できたらと思っています」
百年先を見据えて、家具を、家を、街を作っていくべきだと考えます。
「木の美しさのひとつに木目、年輪がありますが、これは時間と日本の四季があってこその美しさです。日本の木材に細かく美しい年輪があるのは、木が芽吹く春、ぐんぐん育つ暑い夏、実りつつも葉を落とす秋、そして木が休む厳しい寒さの冬があってこそ。植物の力とはすごいものです。蔵に使われている大ケヤキなんて、伐る前に百年かかって育ち、木材として使われるまでに何年か寝かされ、そして建物となってからもまた百年以上生きている。家具も家も街路樹も、大切にすれば、私たちの世代がなくなったあとも、その命をつないで行ってくれるでしょう。
 私は街づくりも百年先、二百年先を見据えて行うべきだと思っています。最近の地方都市の再開発では、よく駅前を無機質なデザインに仕上げていますが、そういう公共の場所にこそ緑が、木が必要なんです。その土地に今住んでいる人は『木なんて裏山に行けばいっぱいある』と思い込んでいるのでしょうが、ふと気がつけばその裏山は住宅地になったり大きな商業センターができてなくなってしまう。
 木のあるところに人は集まります。私は表参道だって、おしゃれな店々の魅力以前に、あのケヤキ並木があるからこそ、人が集まってくるんだと思っています。これからは山を大切にすることで木を守るだけでなく“街の中に森を作る”という意識を盛り込んだ街づくりを行うべきではないかと考えます」
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インテリア・アーキテクチャー 水谷 壮市
1955年、福井県生まれ。
1979年Plastic Studio& Associates入社、1990年水谷壮市デザイン事務所設立。 JCD商環境デザイン賞大賞やライティングコンテスト最優秀賞、NGSデザイン賞審査員特別賞など数多く受賞。
家具の代表作としてはチェアの「スーパーレジェンド」。最近の作品は、インドネシアの「テ・サテ」というレストランや沖縄・石垣島のバーなど。
公開中インタビュー
メディアコーディネーター 芳村 真理さん
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2005.1〜2007.12
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