図1 面密度と周波数の積(M×f)と音響透過損失(TL)の関係
久我新一:遮音材料、技報堂出版、p.29(1978)
遮音の程度は、音の透過損失、すなわち音響透過損失によって表されます。例えば、壁の音響透過損失は、その壁の両側の音圧レベルの差で表されます。
図1は、面密度と周波数の積から音響透過損失を求める計算図表です。この図からわかるように、音響透過損失は、壁の面密度(単位面積あたりの質量で、密度×厚さ)が高いほど大きくなります。一般に遮音材と呼ばれているものには、密度が2g/cm3を越えるものもあります。それに比べて、木材の中にはリグナムバイタなどのように密度が1g/cm3を越える樹種もありますが、木材の密度はおおむね1g/cm3以下ですから、木材で遮音効果を出すためには工夫が必要です。
まず、できるだけ密度の高い木材を厚く使って、面密度を上げることが重要です。また、壁を二重にして空気層を設けて、その中に吸音材を入れれば、木材を主体とした壁でも高い遮音効果が期待できます。
吸音の程度は、吸音率で表されます。吸音率の測定方法の一つとして、残響室で残響時間を測定して算出する方法があります。吸音性の高い材料ほど残響時間が短くなります。木材を原料とした木質材料の中には、優れた吸音性を示すものがあります。
図2には、種々の木質材料の吸音特性を5種類に分類して示してあります。
1 全音域吸音タイプは、有孔ボードなどの背後に300mm 以上の空気層を設け、吸音材を組み合わせたもの
2 中高音域吸音タイプは、木片セメント板、木毛セメント板など(背後に空気層と吸音材)
3 高音域吸音タイプは、孔あき繊維板(背後に空気層とグラスファイバー吸音材)
4 中音域吸音タイプは、孔あき繊維板(背後に空気層)、
5 低音域吸音タイプは、合板、パーティクルボード、硬質・中質繊維板など
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