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学ぶ 薬になる木

今も昔も欠かせない、薬になる木。新たな効果も発見されています。



薬用樹木キハダの黄色の樹皮

薬理活性を持つ植物は古来、民間薬として用いられ、その草根木皮は日本薬局方で定めるいわゆる生薬のもとになっています。民間薬、あるいは生薬として使用される草根木皮の形態は、植物の全形、切断したもの、あるいは粉末にしたものに分けることができます。また、有効成分の取り出し方には、煎じる方法や蒸留法などがあります。
 日本で栽培されている主な薬用植物のうち、木本(もくほん=樹木)にはイチョウ、キハダ、サンショウ、トチュウ、ナンテンなどがありますが、栽培種の種類は木本よりもむしろ草本類のほうが豊富です。
 生薬の輸入量は、1976年には2万トンでしたが、15年後には2倍の4万トンから4万5000トンに増大しています。それとともに漢方製剤の生産高も増え、1976年には100億円弱だったものが15年後には1700億円になっており、天然物志向の傾向がうかがえます。薬用樹木を含む薬用植物の需要は、今後ますます増えていくことでしょう。
 そのような動きの中で、すでに知られている薬効に加え、樹木成分の健康に関わる新たな働きの発掘が各地で積極的に行われています。
 例えば、細胞や組織に傷害をもたらす活性酸素に対する活性酸素消去活性(抗酸化力)が、スギの葉、材、樹皮から見いだされています。 また、シミ、ソバカスの原因となるメラニンの生成を防ぐのに有効な成分も、スギ心材から発見されています。


 杜仲はその樹皮が、血圧降下、利尿作用のある漢方薬として利用されています。さらに、葉にも樹皮同様の作用のほか、滋養強壮、高脂血症改善作用があることや、イチョウの葉には育毛効果があること、タイに生育するトウダイグサ科クロトン属植物プラウノイの葉には抗潰瘍性物質が含まれていることなどが明らかにされています。