コンピュータ・グラフィックによって作成した「まさ目模様」の「不自然さ」と「自然さ」(京都大学・仲村匡司先生提供)
樹木の年輪の間隔は、“1/fゆらぎ”と呼ばれるゆらぎが存在することが知られています。京都大学の増田稔先生らは、官能評価によって、木材の視覚的イメージを調べ、第1にこのゆらぎが人に“自然”で、“豪華”な印象を与えること、第2に木目の非交差性が“感じのよい”印象を与えること、第3に木材は外装材のようなマクロな形から細胞オーダーのミクロなパターンに至るまで複数の相から成り立っており、この複数の相が木材製品に“深み”と“味わい”を与えていること、第4に節のある材は“自然”で“感じの良い”印象を与えることを明らかにしています。
また、増田先生らは室内空間における木材率と印象の関係を調べ、以下のことを明らかにしています。
1)木材率が増加すると共に“冷たい”印象を与える部屋が減少し、色合いが木材色に近いほど“あたたかい”印象を与えること
2)“なごんだ”印象も“あたたかい”と同様の傾向にあること
3)木材率が増加すると共に“重厚さ”が増加すること
4)木材率が増加すると共に“自然”な印象がすること
同じく、京都大学の仲村匡司先生らは、コンピュータ・グラフィックで作成した木目を用いて視覚イメージの調査を行っています。図の左端に示す年輪幅が一定で、かつ木理(もくり=木目)が直線で表されているまさ目模様は、自然界には存在しませんし、不自然な感じを与えます。しかし、これに明暗変化をする濃淡むら(真ん中)をオーバーラップさせますと、本物の木目に近づきます(右端)。以上のことから仲村先生は、人は濃淡むらのような低周波の視覚刺激に敏感であり、これがまさ目模様の自然さを形成していると指摘しています。
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