企業・団体様へ

学ぶ 床下に木炭を敷く

実は昔から湿気とりに使っていました。



図1 木炭含水率の推移
引用:日本林業技術協会(中野達夫)
木の100不思議、27(1995)

 現在の住宅は、地震に対する対策からコンクリートの布基礎を用いることになっています。しかし、布基礎だと換気口の大きさが足りなかったり、地盤が湿っている場合は、床下に湿気がこもり床や床下部材の耐久性に影響を及ぼすことがしばしばあります。この対策として、実は江戸時代から土蔵の湿気とりに木炭を使うという方法がありました。そこで、実際に人が住んでいる木造住宅を使って、木炭を敷いてその湿度の状況を調べた結果を紹介します。
 写真1は、木炭を敷く前の床下の様子で束、大引き、根がらみにはカビが生えていました。写真2はこれを床下に敷き詰めた3年後の床下の様子で、写真3は、通気性のある袋に詰めた粒状木炭で、カビやカビ臭は一掃されました。

 図1は、木炭を敷いた床(実線)と敷かなかった床下(1点破線)に木材試片を吊り下げ、その含水率変化を見たものです。含水率が5、6月から急激に増え、11月頃から減少するパターンが毎年繰り返されています。しかし、木炭の有り無しで、最高含水率が4%弱も違っているのが分かります。実は、木材の含水率20%がカビやシロアリに侵されるかどうかの境になると云われています。木炭を敷いた床下は、20%を越える期間がずっと減っています。
 結果として、木炭がないと床下部材の含水率は約19%~24%で、木炭があると14%~20%の範囲に収まり、木炭敷設は床下湿気の害に対して大変有効であることが分かりました。
 しかし、注意すべきことは、大きな換気口を設け、常に換気することです。何故なら、木炭の吸湿能を高めておくためには、木炭を乾燥させておく必要があるからです。


写真1 木炭敷設前の床下
写真2 木炭敷設3年後の床下
写真3 敷設する粒状木炭

写真1~3
提供:中野達夫氏