チリダニ科ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニ
(すばらしい木の世界 木材学会編 より)
現在、地球上で知られているダニの種類は約5万種類といわれています。森林や野原、室内などはもちろんのこと、水中にも動物のからだの中にもダニは生息しています。雪と氷の世界を除き、地球上の至るところダニは見られます。
それほどたくさんいるのですが、意外に気にならないのはダニのからだが小さく、私たちの目では見えないものが多いからです。河川敷に発生し、風土病として古くから恐れられていたツツガムシ病を引き起こすツツガムシもダニの一種です。野菜につくハダニ、家ネズミにたかるイエダニなどもよく知られています。
最近、特に問題になっているのが、室内に生息するダニです。住居内のゴミ、すなわち室内塵の中で繁殖するダニが増え、ぜんそくなどの原因となるからです。室内塵は、食べ物のかす、人のふけ、その他さまざまな室内の片隅に落ちていてダニのえさとなるものを指しています。高温多湿を好むダニの繁殖を抑えるには湿度を低くし、掃除機を丹念にかけ、ゴミを少なくして部屋を清潔にしておけばよいのですが、忙しい現代人にとってはなかなか難しいことなのでしょう。
室内塵中には約100種類以上のダニが見いだされていますが、その中でも特に生息数の多いのが、ヨーロッパ室内塵ダニと呼ばれるヤケヒョウヒダニとアメリカ室内塵ダニという名を持つコナヒョウヒダニです。これらの室内塵中のダニがぜんそくなどの原因となります。
室内塵ダニが気管支ぜんそくの原因抗原物質(アレルゲン)であることは、30年ほど前にオランダの医師によって指摘されました。日本の気管支ぜんそく患者の50~90%はダニが原因です。
そればかりではありません。最近増え続けている鼻アレルギー、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患にもダニは関係しているといわれています。
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