殺ダニ成分を含むヤクスギの切り株(土埋木)
ぜんそくなどの原因となるダニが室内で増え続けるのをどうやって防ぐかは大きな問題です。効き目の強い合成殺ダニ剤も市販されています。しかし室内で使うには、合成品では安全性の面で不安が残ります。特に何もわからず口にしてしまう小さな子供がいる家庭などでは心配です。
そこで、比較的安全性の高い植物から殺ダニ作用やダニの繁殖を抑えるような成分を取り出して利用しようという試みがなされています。植物からの発掘が積極的に進められていますが、木の成分にもそのような働きがあり、最近では木のにおい成分の殺ダニ作用が見いだされています。
屋久島に生育するヤクスギは樹齢千年以上の大木ですが、数百年前の江戸時代に伐採されたヤクスギの切株が、今でも屋久島には腐らずに残っています。
木材腐朽菌に強い抗菌性物質や害虫に食われにくい殺虫成分をたくさん含んで入るので、数百年を経てもそのまま形を留めているのです。
ところがこのヤクスギに含まれるにおい成分、いわゆる精油成分には、室内塵ダニに対して強い殺ダニ作用があることがわかりました。
また、ヒバ材、タイワンヒノキ材のにおい成分はそれぞれ0.2%、0.1%の濃度で、室内塵ダニの繁殖を抑える働きがあります。この濃度はそれぞれの材に含まれるにおい成分の濃度より低い濃度です。このことは、ヒバ材、タイワンヒノキ材がダニの繁殖を抑えるのに効果があることを示しています。
用材としてよく用いられるヒノキ、ベイヒバ、ベイスギ、アカマツなどのにおいにも強い殺ダニ作用があります。
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