0種あり、マライ、フィリピンを含む東南アジアを経て、ニュージーランド、さらにフィージー、ニューカレドニアなどにも分布しています。国によっては造林されています。上述したように分布範囲が広く、国によってこの類の木材に対する呼び名が違っています。東南アジアの国々の例を主として表に示しました。フィージーでは、まだ直径が大きく2メートルをこえるようなものが出材されています。この類の木材は、年輪があまりはっきりしていないのと名前が日本の針葉樹のそれとかなり違っているため、広葉樹ではないかと思う人が多いようです。日本の市場では、ナンヨウヒノキと呼んだり、ナンヨウカツラ、シンカツラなどと商品名をつけていることが多いので、馴れないと混乱することでしょう。
ヨーロッパからシベリア地方にまで広く分布しており、ヨーロッパ各国での代表的なマツ類の一つです。 ロシアのシベリアから輸出される木材の中に、ヨーロッパ産の木材のよう な名前がついたものが、どうして入っているのか不思議に思われるでしょうが、ヨーロッパ産のものの方が、世界に知られているからです。ロシア語で、サスナというのが、英語のパイン(マツ)に相当しています。ヨーロッパでは、オウシュウアカマツのことを心材が赤色を帯びることからレッドウッド、スプルースのような淡色の木材をホワイトウッドと呼んで取扱うことが多いので、取引上で、この名を見聞することがあるかも知れません。ロシアから輸入される木材の中では、ロシアカラマツやエゾマツ・トドマツ類より、ずっと少量なので、一般にはあまり知られていないかもしれません。
カリビアマツは、カリビア海に面する地域に天然分布しています。私どもにとっては、天然のカリビアマツよりも、造林されているものの方が馴染みが深いようです。というのも、このカリビアマツは、熱帯地域での針葉樹造林樹種としては、もっとも代表的なもので、熱帯アジア、太平洋地域、その他に広く植えられています。とくに、フィジー国にある造林地は広く、3万ha(1980年当時)に及び、その後も増加しています。生長が良い場合、15.6年生で、直径は30cmになります。大部分のカリビアマツは、パルプ原料を目標として植えられているため、用材として利用しようとすると、生長が早過ぎて、材質的には劣るとされています。
パインという名前が付いていて誤解しやすいですが、科名からもわかるように、まったく違った樹種です。パインを針葉樹というようなつもりで、付けたのでしょう。パプアニューギニアの少し高い地域に分布しています。山の尾根にたっているこの木をみると、パインと呼びたくなるような姿をしています。熱帯の広葉樹に比較して、肌目が精で、加工しやすいので、この木材の存在に気付いた人達が、これを使おうと考えたのも無理からぬことでしょう。たちまち、地域での有用な木材となり、同国の外貨獲得のために輸出用木材の花形になっています。この木の重要性に人々が気付いて、造林をするようになり、現在では、広い造林地が作られています。
主なものはスラッシュパイン(上述)、ロングリーフパイン(P. palustris)、ショートリーフパイン(P. echinata)、ロブリーパイン(P. taeda)などです。スラッシュパインはパルプ用材あるいは用材として米国南部の諸州に造林されています。米国の合板の材料は西部ではベイマツ、南部ではこのサザンイエローパインです。
日本の市場に輸入されているスプルースの代表的なものは上のようなものです。米大陸産のものは、アラスカ州南部からカリフォルニア州北西部に分布するシトカスプルース、ベイトウヒ(1)、ロッキー山系をカナダから米国のアリゾナ州、ニューメキシコ州に分布するエンゲルマンスプルース(2)などが主なものです。ロシア産は、北海道にも分布し、サハリン、沿海州、アムール河流域などに分布するエゾマツあるいはエリ-アンスカヤ(3)、シベリアに分布するエリ-シビルスカヤ(4)などが代表です。日本市場に入ってから、何れもがスプルースという名で呼ばれています。大雑把にいうと、両者を輸入する地域が違っており、北海道、東北地方から北陸地方へかけての裏日本ではロシア材が多く、反対側の表日本では、むしろ北米材が多いといえるので、両者の区別がつくでしょう。材質的には、日本のエゾマツとほぼ同じと考えてよいのですが、むしろ成長の仕方によって違いが出ます。
台湾北中部の高地に分布します。日本に古くから輸入されており、とくに、耐久性と強さがあり、しかも、大きい材が必要な用途には、需要があります。これは、かなり以前から、日本で、天然のヒノキの木材を入手することが、難しくなってきているので、その代替材としての需要は根強いものがあります。
北米大陸のアラスカ州の南東部からカリフォルニア州北西部およびロッキー山系に分布しています。ベイスギと呼ばれていますが、米国産のスギ類ではありません。日本のネズコあるいはクロベ:T.standishiiと同類で、しいて日本名をつけるとすればアメリカネズコと呼ぶべきでしょう。また、スギの特有の芳香はなく、別の芳香がありますので、すぐに別物であることがわかります。この木材は、耐久性が高いため、米国のある部族のインディアンの人々は、この木材を使って、トーテムポールを作っています。
北米大陸のアラスカ州南部から米国の南西部までの太平洋岸地域に分布し、蓄積の多いのはワシントン、オレゴン両州です。日本に米大陸から輸入される木材のうち、ベイツガに次いで量が多いのがベイマツです。価格が低いため、日本に輸入されて、スギと競合することが多く、日本の林業に大きい影響をおよぼす樹種といえます。米国では、材質的に他の樹種に比較して劣るため、高く評価されることはないようです。日本への輸入量が多いのは、質よりも価格が安いという点が魅力的であるためでしょう。ちなみに日本に輸入する際、モミ類と一緒に、Hem―Fir(ヘム―ファー)と呼んで、取扱っています。こういう取扱いをするのも、木材個々の価値があまり評価されないからではないでしょうか。
分布は比較的せまく、米国オレゴン州の南西部からカリフォルニア州西南部の間に限られます。日本ではヒノキが非常に高く評価されていますが、価格が高くなり、庶民には手の届かないものになって来ています。そこで、米国では、ベイヒが人々の好みに合わないせいか、高く評価されていないことに気付いた人々が、それでもヒノキを欲しがる庶民の要望に応えて輸入し始めたのでしょう。一時、町の中の建築現場でかなり目立ちました。多分輸入する側では、はじめはなぜベイヒがよく売れるか理解出来なかったことでしょう。同じようなことに気付いた人が、すでに明治時代後半にもいたようで、その頃の輸入の記録にベイヒの名があります。
北米大陸のアラスカ州南東部からオレゴン州にわたって分布します。上述の属の名をみるとわかるように、ヒノキの同類です。日本のヒバはThujopsis 属に属していますので、ヒバの名を使っているのは、大変まぎらわしいことです。この名のおこりは、かつて輸入した木材の中に、日本のヒバによく似た木材があることを発見した人々が、米国から来たヒバに似た木材ということで、ベイヒバとしたといわれています。ヒバには、強烈などちらかといえばくさい臭いがあるので、同じような臭いのあるこの木材が輸入材のなかに混っていることには容易に気付いたことでしょう。ときどき、柱材に“アラスカヒノキ”という名が書かれているものがありますが、これは、多分米国産のスプルース類に日本でつけたもので、スプールス類は淡色で、ほとんど無臭ですのでベイヒバではないことは直ぐわかります。
北米大陸でカナダのブリティッシュコロンビア州からカルフォルニア州にかけて分布しています。マツという名がついていますが、アカマツなどのマツ類とは別の類の樹種で、日本にある相当するものとしてはトガサワラがあります。したがって、正確にはアメリアトガサワラと呼ぶべきです。日本に輸入されている北米材のうちで最近では量がもっとも多くなっています。しかしベイツガとは違った用途に用いられています。輸入の歴史は古く、明治時代、すでに輸入された記録があります。当時はメリケンマツと呼ばれていたそうです。
ベイモミ類は、米国では大きく2つのグループに分けられ、大陸西部のものをウェスタンファー、東部のものをイースタンファーと呼んでいます。カナダには4種、米国には7種が知られています。日本に輸入されるのは、主にウェスタンファーです。上述のように一括してベイモミとして取扱われることもありますが、上にあげたのはノーブルファーで、その他よく聞く名前として、パシフィックシルバーファー:A.amabilis、ホワイトファー:A.concolorグランドファー:A.grandis などがあります。Hem―Fir(ヘム・ファー)といって、ベイツガと一括して取扱われることもあります。多分そういう時には、いろいろなベイモミが混じっているのでしょう。
日本の本州中部の亜高山地帯にも分布していますが、市場で取扱われているものは、ロシア産のベニマツと呼ばれるものです。中国東北部、朝鮮、シベリアなどに分布しています。このマツの種子は大きく、食用になり、デパートなどのナッツの売場におかれていることがあります。ベニマツは、マツ類を硬松と軟松にわけるときには、軟松のグループに入れられます。日本産のものとしては、ヒメコマツが同グループに入ります。硬松類に比較すると、年輪のなかの細胞の形の違いが少なく、そのため、年輪はずっと見分けにくくなり、木材は軽軟です。日本市場ではロシア産の針葉樹のなかでもっとも高い評価をうけています。しかし、残念なことに、この樹種は、幹の中心部が菌の害をうけ易く、ほとんどといってよい程丸太は空洞になっています。したがって、木材として利用する場合には外側の部分が使われます。
ロシアのシベリア、サハリン、沿海州、千島などに分布しています。北海道で小規模ながら造林が試みられたことがあります。日本に輸入されてくるロシアカラマツは、天然生で、年輪の幅が非常にせまく、人工造林の日本カラマツを見馴れた眼でみると、同類の木材とはみえない位です。冬、シベリアの空を飛ぶと、下界に何時までも続くように広がっている茶色のものが白銀の中にみえますがこれがロシアカラマツでしょう。
北米の西部では蓄積が多く、また分布範囲が広いので、優勢なマツといえます。太平洋岸の山地、ロッキー山系、さらに、メキシコ北部にわたって分布しています。日本に輸入されているロッジポールパインと分布範囲が重なることもあるので、その中に混じって輸入されてくることも考えられます。
現在日本へ、ニュージーランド、さらに最近ではチリーから大量に輸入されて、ニュージーランドマツあるいはチリーマツなどと呼ばれていますが、これらは、全て造林木です。最近では、チリーから輸出されるラジアータマツの量が多くなり、ニュージーランド産の輸入量を越えるようになっています。この樹種の原産地は、実は米国のカリフォルニア州のモントレー郡なのです。このラジアータマツは、故郷のアメリカでは、用材になることは、ほとんどないようです。故郷で育たず外国へ植えられると、美しい林をつくり、大量の木材を生産をするというちょっと珍しい例です。現在、オーストラリア、アフリカ諸国などでも造林されています。ニュージーランドから今迄輸入されているものは、生長がよすぎて、年輪幅が広く、大きい節が多数出るため、木材としては低い評価を受けています。ニュージーランドでは、林の手入をよくして、将来、良質材を得ようと努めています。
ビルマからインドシナさらにフィリピン、スマトラにかけて分布しています。二葉松の類です。木材は日本産のアカマツ等によく似ています。かって天然のものがカンボジアからかなりの量日本の市場に輸出されていました。その時はカンボジアマツという名で呼ばれていましたので、ご記憶の方もあるでしょう。造林されることもあり、スマトラの山地にある造林地がよく知られています。近年、この造林地からの木材が日本に輸出されていますが、その材質は現在のところあまりよいとはいえません。
メキシコ、あるいはグァテマラなどが天然の産地として知られています。そのことよりも、むしろ、世界の熱帯地域の高地に広く植栽されていることで有名になっています。南米各地に造林地があります。東アフリカの比較的高い地域には、成功した造林地がかなりあり、地域の人々にとっては、数少ない針葉樹ですから、重要な木材の一つとなっています。他のヒノキ科の樹種と同じような美しい樹形をもっていますので、林になると大変見事といえます。ヒノキ科の樹種ですが、この属の樹木は日本では、庭園木としては知られていますが、造林地はありません。どちらかというと馴染みの少ない木材の一つです。しかし、ときどき、木材の見本が、あちこちでみられますので、あるいは知らずに使っているかも知れません。
レッドウッドは米国の太平洋岸のオレゴン州南西部からカリフォルニア州中部にかけて分布しています。高さが70-80mにもなり、直径は、時には 4.5mにもなり、世界的にも巨木になることで知られています。かって、同じ属に入っていたジャイアントセコイアあるいはシエラレッドウッド(Sequaiadendron giganteum、かってSequia gigantea とされていた)とともに、太平洋岸の森林地帯の風景のシンボルとなっています。
アラスカからバハカリフォルニアにわたって分布していますが、ロッキー山系北部や太平洋岸地域により蓄積が多いといわれています。日本のアカマツのように二葉松です。ロッジポールパインという名前はこの地域に住むインディアンの人たちが円錐形の小屋を建てるときには、この木の丸太を何本か立てて、その上を皮や布で覆って作ったといわれています。そのことからみると、小屋用の丸太になる松ということで、ロッジポールパインという名前が納得できるのではないでしょうか。
熱帯地域に適する造林用の樹種を探すことは、大きな問題となっています。この樹種は最近になって大きな注目を浴びるようになったもので、熱帯アジアをはじめ熱帯の地域で造林されはじめています。原産地はオーストラリア北部のクインズランドですが、そこではあまり重要な樹種とは考えられておらず、外国へ植えられて驚く程の成長をするようになったものです。とくにサバでは積極的に造林されています。
産地はカメルーン、ライベリア、ナイジェリア、アイボリーコースト、ガーナ、ガボン、シエラレオネなどです。ヨーロッパなどでは、耐久性が高いことでよく知られていましたが、日本ではあまりよくは知られていませんでした。ところで最近になって耐久性が高いことが注目されて、輸入されるようになりました。現在では、ボンゴシという名前で取り扱われています。この名前はドイツ語あるいはスウエーデン語系のようですので、これらの国となんらかの関わりあいのある西アフリカ地域から輸入されたものでしょう。
70種以上があり、インド、スリランカ、ビルマ、タイなどを経てインドシナ、フィリピン、スマトラ、ボルネオ、バリに分布します。東南アジアから輸出される木材のうち、メランチ類に次いで、大量に取引きされています。産地によって、呼び名が違っていますので、その一覧表を示します。かっては、表面に出ないような構造部分や強さが必要な用途に用いられることが多かったのですが、最近では、合板の材料としても多量に使われています。
マホガニーのことを真正マホガニーなどと呼んで他の樹種からわざわざ区別して呼ぶことがあります。このアフリカンマホガニーは、同じ科で、木材もマホガニーに似ていますので、偽物のマホガニーというより、マホガニーによく似た木材といえるでしょう。アフリカンマホガニーは、アフリカ各地に分布しており、地域によって、樹種もことなっています。上述のK.ivorensisが代表的なものといえます。典型的なアフリカンマホガニーとマホガニーを比較すると、どちらかというと前者は肌目が粗で、かつ木理が交錯していますので、美しい材面をもっています。とはいっても、天然のマホガニーがほとんどなくなってしまった今日では、天然でもっともマホガニーに近いものはアフリカンマホガニーでしょう。アフリカに産しますが、熱帯降雨林地帯に生育するものが普通です。
モルッカ諸島から太平洋諸島が原生地とされていますが、成長が非常に早いため熱帯の早成樹種の一つとして注目されるようになりました。とくに、熱帯アジアから太平洋地域にかけての国々でおこなわれている造林プロジェクトで、植栽されています。
カナダのニューファウンドランドから南東部をへて、米国のメイン州など北東部から5大湖地方をへて、ジョージア北部とテネシー州の山地にわたって分布しています。比較的低い地域にみられる樹種で、1000m以上に分布しているのは、アパラチア山脈南部のみです。樹高は18~24mで:直径は0.75mに達します。北米産のカンバ類のなかの代表的な樹種です。
ポプラという名前がついていますが、ポプラにはおよそ縁遠い植物で、日本産のホオノキと同じ科です。植物園へ行かれると、たいていは一本ぐらい植えられています。樹木の場合、普通はチューリップツリーの名前が付けられていますので、見過ごすかも知れません。緑がかった橙色の大きな花を咲かせます。米国東部の落葉樹林に見られる樹木で、一般的には低い山地に生育しています。アパラチア山脈やオハイオ河渓谷地域では、最も大型になります。大きいものは樹高50m位にまでなります。
約30種あるとされ、マラヤ、スマトラ、ボルネオ、フィリピンなどに分布しています。この類の木材の地方名はかなり違っており、その、主なものを挙げると表のようになります。イエローメランチの類の丸太には、その中心部にしばしば、アンブロシア類の虫害がみられますが、それが外側からみえないために、丸太の評価を混乱させます。このような虫の跡を中ピン(中にあるピンホールという意味)と呼びます。
タベブイアは熱帯アメリカ産の重硬な木材の代表的なものの一つで、米国の木材市場では古くから知られていますが、日本ではあまり一般的に知られている木材とはいえませんでしたが、最近話題になるようになりました。熱帯アメリカに分布しており、数種あることが知られています。中型から大型の樹木で、大きな丸太がとれ、ブラジル産のものは、アマゾン河の高地地帯で最も大きくなる樹種の一つで、樹高40mに達するものがあります。
アフリカ産の代表的樹種の一つで、大量に輸出されているので、世界の市場でよく知られています。どちらかというと、チークの色に似ていますので、植物として無関係なのにアフリカンチークという市場名がつけられていることもあります。このうち、C.excelsaは、分布範囲が広く、シェラレオーネからタンザニアにまでアフリカを横切って分布して、重要な木材となっています。
フィリピン、スマトラ、ボルネオ、スラウエシ、モルッカ諸島、ニューギニア地域などにわたって分布しています。成長が早いため、熱帯地域で、最近は造林樹種の一つとされるようになりました。丸太の形が円筒けいで、しかも直径が大きくなるので、合板用に使われています。
とくに日本の木材工業を考えた場合、熱帯アジアの木材の中で、ラワンやメランチと呼ばれる一部の樹種の木材は、その量と一般用材として材質の良さで、もっとも重要なものですが、それと同じことが、このオクメとヨーロッパの木材工業との間でいえます。ヨーロッパで、レッドメランチ類のようにみえる合板をご覧になった時、それがアジア産でなければ、このアフリカ産のオクメです。
アフリカから輸入される木材の多くは、輸送距離が長いため、材面の美しい高価な木材が選ばれていますが、その点からみると、かなり違った意味で輸入されているのでしょう。この木材は、いわゆる美しい木材ではなく、材面はむしろ特徴が非常にない、しかも軽軟な木材です。 西アフリカに広く分布しており、ギニアからカメルーンにわたってみられます。どちらかというと、典型的な熱帯降雨林の樹種ではなく、降雨林と半落葉樹林の中間地帯にある河に沿った地域および放棄された農地跡などに生育し、優勢になっている樹種です。大型の樹木で、大径の、しかも形のよい丸太がより多く得られるために、一般用材内の樹種として優れています。
日本で同類のものとして、ヤマハンノキなどを含めたハンノキ類があります。木材はほとんど、日本産のハンノキ類のそれと同じです。ただ、どちらかというと、日本のハンノキ類の木材が、ほとんど目に触れなくなっているの反し、最近になって、米国から輸入されるようになっています。一般にその使われ方が、表面に出ないような、芯材用として利用されるごとが主なため、末端の利用者には、この木材が日本に輸入されていることは知られていないことでしょう。この木材は、米国の西海岸の地域から製材の形で日本へむけて輸出されており、用途によっては、かなりの量が使われています。。
一般的によく知られているのは、上述の7種で、スマトラ、マラヤ、ボルネオ、などに分布していますが、フィリピンに分布がないのが特徴です。ボルネオカンファーウッドという奇妙な名前がついていますが、これは木材に、樟脳様の強い芳香があるためです。かって、フタバガキ科を、龍脳香料と呼んだこともありました。この類の木材から得られた高い芳香をもった樹脂を龍脳香と呼んで漢方薬に用いています。このために上述の科名が考えられたのでしょう。いずれにしても、木材が新しいときの芳香は強烈で、気持ちが悪くなることもあります。これだけで、この類の木材は他からはっきりと区別出来ます。
カポックは東南アジアの国々を訪ねると、植栽されているのを、かなり頻繁に目にすることがあり、原産地が熱帯アジアのように錯覚しますが、アフリカ原産なのです。アフリカに生育しているのを見ると、アジアに植えられているものに比べて、ずっと直径が大きく、樹高が高くて、堂々としていて、別の木のように見えます。カポックはアジアでは、木材よりもどちらかといれば、種子についている綿毛の方が、枕などに使われていますので、ずっと有名です。シルクコットンツリーという名前がよく使われますし、フランス語ではフロマジェー(チーズ)といっています。
カメレレは、日本に輸入されている用材となるユーカリ類の中では、もっともよく知られているものでしょう。ユーカリの仲間は数百種位ありますが、カメレレはアジアの熱帯や太平洋地域あるいは、その他の熱帯地域で、造林が成功している樹種の一つです。日本に一般に輸入されているものは、パプアニューギニア産の天然木です。ニューギニアでは、単一樹種で大量に入手出来る樹種が少なく、カメレレはその内では、比較的大量に得られるので、パプアニューギニアの樹種の代表的なものの一つとされています。造林したものは大変成長がよく、個体によっては17.8年で、直径70cmを越えることさえあります。熱帯各地では、カメレレをパルプ用の原料として造林することが多いのですが、大きくなったものは合板用材としても使える可能性があります。
カリンの類は、東南アジアあるいはアフリカなどで、重要な高級木材の一つとして知られています。どちらかと言えば、ローズウッド類に比べて一段低くみられていたといえますが、現在では重要な高級材となっています。この樹種は熱帯アジアおよびニューギニアなどに分布しています。妙なことに、パプアニューギニアでは、この木材のことをニューギニアローズウッドと呼んでいるのです。 アフリカにはP.soyauxii, P.angolensisなどがあり、それぞれの産地では、高級木材として評価され、家具、キャビネットなどに使われています。とくに前者はアフリカンパドウクと呼ばれ、世界の木材市場でよく知られています。
この属には約 100種が含まれています。その分布は広く、主として東南アジアから太平洋地域にわたって生育しており、さらにマダガスカルと南米にもみられます。材質はよく似ており、各地で、有用な木材の一つとなっています。日本の市場では、メランチなどを除いたいわゆる非フタバガキ科の木材のなかでは、重要な木材の一つです。
この属は10-13種が含まれており、熱帯アジアから太平洋地域にかけて広く分布しています。成長が早く、とくに伐採跡地などで目立ちます。このことを利用して造林樹種の一つとして取り上げることもあります。Fijiでは比較的商業用になる木材が少ないため、輸出用の木材の一つになっています。
熱帯アジアのビルマ、マラヤ、スマトラ、ボルネオなどにわたって分布しています。この名前は、あまり、知られていませんが、赤色系のメランチがあるようなボルネオの地域では、しばしば、この木材は、色が似ているために、レッドメランチのなかに混入され、出荷されていたことがありました。そういう意味では、日本、特に合板工業には縁があるといえるでしょう。
ケンパスはマレイ半島、スマトラ、ボルネオなどに分布しており、大木になり、樹高は30-45mに達します。メンゲリスと同じ属の樹木です。
パプア・ニューギニアあるいはフィージーなどへ旅行された方は、いるかをはじめとした動物あるいは人物の顔などの木彫が土産物屋で売られているのに気付かれた筈です。そのうちで、一寸チークの色に似ていて、ときには濃い條の模様をもつ木材を使っているものがあります。これがこのコーディアの木材です。この属の樹種は、アジアの熱帯および中南米に分布しています。フィージーなどで用いられているコーディアの木材はC.alliodora という南米原産のものが、造林され、木材にされたものと考えてよいでしょう。上述のように木彫品としての利用がほとんどなのは、多分、直径が大きくならないからでしょう。
果物のカキのことは、よく知られていますが、コクタンと呼ばれている木材が、カキの仲間からの木材ということはあまり知られていないでしょう。事実、コクタンの取れる樹木を、結実期にみると、大分日本のカキとは違いますが、それでも立派な大きなカキをつけていることがあります。コクタンは、シタン、コクタン、タガヤサンで知られる唐木の代表的なものの一つです。今日では本コクタンと呼ばれる真黒な木材をみることは、非常に少なくなり、あるとすれば、小さな細工物になっているものが大部分でしょう。その真黒なものはD. ebenumのような樹種から採取されていますが、もうほとんど大木はなくなってしまっているでしょう。もっともエボニーというのは真黒なものが本来的なものでしたが入手し難いことと、どちらかというと、縞がある方が、現在では好まれるので、かえってかって低質のエボニーと考えられていた桃色の地に黒色の縞があるD.discolorのような木材の方が装飾的な用途に用いられているようです。エボニーはコクタンに対する英語と考えよいでしょう。この類の木材はアフリカ、熱帯アジア、ニューギニアなどに産します。
コクロデュアという名は、ガーナ、コートジュボアールなどの熱帯西アフリカのもので、これらの国々が主産地となって、世界の市場に輸出されてきています。湿度の高い処にも乾燥している地域にも生育して、かなり大木になります。10年以上も前でしょうか、同属の樹種で、熱帯アジア産のP.moonianaが、スライスドベニヤとされ、何処の家具売場をみてもこの木材を使ったものがありました。このアフリカ産の樹種についても同様に扱われていたことでしょう。色がチークに似ていて、濃黄褐色、金褐色ですので、チークの代用として売り出したのでしょう。その時期が去ってから本物のチークが多く使用されるようになりました。
熱帯アジアあるいはポリネシアが原産地といわれていますが、まるで熱帯を象徴する植物とでもいえるようになり、その景観に欠くことの出来ないものになっています。熱帯アジア、太平洋地域はもとより熱帯アメリカ、アフリカなどに広く植えられています。これはココヤシの果実が食用を主として住民の自給用さらに換金作物として多目的に利用できるからです。一方で、これほど大量に植えられていても、その幹の利用については、近年になるまで、あまり考えられてきていませんでした。しかし、植えられているヤシの木が老齢になってきたところが多くなり、その処分が大きな問題になりはじめました。これだけ沢山ある資源が有効に使えたならばと考えるのは当然でしょう。
木材の事情を知らない人にとっては、何故木材のところに、ゴムがでてくるのか奇妙に感じられるのではないでしょうか。このゴムの木は、勿論天然ゴムの原料ですが、その幹が最近、木材の原料として注目されるようになってきました。多分、ゴムの木材を材料としたテーブルのような家具をそうとは知らないで、使っている家庭も多いのではないでしょうか。パラゴムはもともとはブラジル原産ですが、いまでは、東南アジアなど熱帯の各地域に広く植栽されており、重要な産物です。
デパートの家具売場で、サペリ材という樹種名のついた“洋服ダンス”をはじめとした家具類をみられた方々も多いことでしょう。熱帯産の木材だろうとお考えになっても、アフリカ材とすぐにはわからないでしょう。サペリも、アフリカから日本に輸入される木材のうちでは、その名がよく知られているものの一つでしょう。 コートジュボアールからカメルーン、さらに東へむかってザイールを経てウガンダに分布しています。かなり生育している地域の幅は広く、常緑林、落葉林、さらに森林が出来かかっているような処にもみられます。大木になり樹高60mにもなるとされています。
マラヤ、スマトラ、ボルネオなどにみられます。木材はプライによく似ています。しかし、ニューギニアやフィリピンにはみられません。プライと同じように木の幹や枝に傷を付けると白い乳液が流れ出てきます。プライと違うところは、この乳液がチューインガムのチクルになることです。したがって、この木のことを知らないと思っている人でも、実はこのチクルを通じて、大変馴染みがあるのです。
ジャラは属の名前をみるとわかるように、ユーカリの仲間です。よくいわれるように、ユーカリの仲間は数百種類ありますが、ジャラはそのなかで、色の濃いものの代表的な一つです。オーストラリアではジャラは化粧的な用途にも使われる大事な樹種です。しかし、日本ではあまり知られていません。これは、もしかすると、この木材の材面があまり好みに合わなかったからでしょうか。日本にかって、鉄道枕木用材として輸入されることもあったのですが。オーストラリアの西部の海岸地域に分布しており、大木になり、その樹高は30-40mになり形のよい長い丸太が採れます。直径は1-1.5mになります。
ボルネオのサラワクおよびそれに続く西部カリマンタンに分布している樹種で、泥炭湿地林にのみ生育しています。ボルネオ西部に産する非フタバガキ科の代表的な木材の一つです。この木材は、板目面で一番はっきりわかるのですが、小さい濃色にみえる孔が多数あります。よく事情を知らないと、虫の孔のようにみえ、そのために日本ではあまり好まれません。したがって、家具の材料として主として家具の枠組みに使われているため消費者の人々にはあまり知られていません。丸太を取扱う際は内樹皮にある厚壁繊維がバラバラになって、皮膚に刺さり、それが原因で皮膚炎をおこすことがあります。
ビーチという名前がついているので、もしかすると、日本のブナ等によく似た木材を想像されるかも知れませんが、手にとってみると、どちらかといえば、カンバ類(バーチ)に似ています。この木材が、多分カンバ類の木材の代替とすることを目的として、輸入が試みられたことがありました。ニュージーランドの北島と南島に分布しています。樹高は高くなり、30mに達し、直径は 0.6- 1.5mになります。
スパニッシュシーダーというような名前が付いていて、スペイン産のスギなどと思って頂いては困りますが、針葉樹ではなく、広葉樹です。生材の時に、シーダーのような匂いがあるために、このように呼ばれているとのことです。スパニッシュは、かって、産地がスペインの植民地であったために付けられたものでしょう。このスパニッシュシーダーは、葉巻を入れる箱としてその中身の葉巻のお陰で有名になった木材です。有名なハバナの葉巻はこの木材で作った箱に入れられています。シガーボックスシーダーという名前も、このために付いています。
Sindora属はマラヤ、タイ、カンボジア、スマトラ、ボルネオ、スラウェシ、ジャワなどに分布しており、約20種が知られています。Pseudosindora属の場合は一種がサラワクの海岸に近い地域に分布しているのみです。両者ともセプターと呼ばれて、同類の木材として取扱われることが多いのです。Sindora属の方は、種の数が多く、分布も広いので、国によって市場名が違っています。フィリピンではスーパ、インドネシアではシンドール、マライ語圏ではセペチールと呼ばれています。
上述の2種を、材質がよく似ていることから、木材を取り扱う際には一緒にして、ソフトメイプルと呼んでいます。したがって、ソフトメイプルという名の種があるのではありません。レッドメイプルは北米東部に分布する広葉樹のなかでは、たいへんよく知られているものの一つで、カナダのクエベックから、南はフロリダ、西はテキサス東部、北はミネソタやオンタリオ南部に分布しています。シルバーメイプルはカナダのブランズウイックから米国のフロリダまで、西にむかっては、オクラホマ、カンサス、ネブラスカまでにわたって分布しています。
ライトレッドメランチを含めると約70種あります。タイ、マラヤ、フィリピンを経てボルネオ、モルッカに分布します。この類の木材は、Shorea属のRubroshorea亜属の樹種からの木材のうち濃色のものです。この類の一種であるタンギールは、フィリピンマホガニーと呼ばれ、米国市場へさかんに輸出されたことがあります。もちろん本物のマホガニーとは全く違う木材ですが、色が似ていることからこう名付けて売り込んだのでしょう。
台湾、スリランカを含む熱帯アジアを経てニューギニア、ソロモン群島、サモアなどに分布しています。しかし、現在この木材を主として輸出している国は、ニューギニア、ソロモン群島などです。タウンという名はプパアニューギニアで、マトアという名はインドネシアでの名前ですので、よく知られているように、ラワンやメランチなどが産するのは、アジアに限られており、それから東の太平洋地域には、一つのグループで大量に得られるものはありません。また、世界の市場で、ラワンやメランチのように名前の知られているものもないといってよいでしょう。その中で、タウンは、太平洋地域の市場材としてもっとも知名度の高いもので、日本の市場へ輸入されるものの中で、常に一位を占めています。メランチなどのように大量には得られないことと、仕上がった材面がよいことなどから、むしろ家具用を目的として利用されています。日本の家具工業は、かつて大量のブナを材料として使って来ていましたが、その枯渇に伴なって、熱帯材の中に材料を求めて来ていました。その結果、このタウンが取り上げられるようになったものです。
かつて、日本の家具やキャビネットなどで、ブラックウォルナットが流行になり、一時は、それだけが用いられるという時期がしばらく続きました。よくも、まあブラックウォルナットが何時までも続くものだと感心していました。ところが、その中に混って、熱帯材によくみられるような交錯木理をもつものがありました。注意してみていると、どうも何種類かの熱帯材を使っているように思えました。段々としらべていくと、その一つは、このダオであったのです。このダオは熱帯アジアからニューギニア地域にかけて分布しており、産地では名前までニューギニアウォルナットというようになっていることがあり、扱いはブラックウォルナットに準じていました。ダオはもちろんウルシ科であって、クルミ科のブラックウォルナットとは何の関係もありません。あるとすれば、ややブラックウォルナットに似たような縞があることだけです。
鉄刀木ともいわれ、重硬な木材です。唐木の中で、シタン、コクタン、タガヤサンと3つ並んだ代表的なものの一つです。東南アジア原産で、乾燥地帯での造林の際、厳しい条件にも耐えるので、造林樹種として使われています。しかし、そのような場合には、どちらかというと、大きく育てるよりも小さいうちに燃料にされています。
チークは、世界の有名木材、とくに熱帯に産するものの仲間で、忘れてはならないものの一つです。天然にはアジアの熱帯のうち、インド、ビルマ、タイ、など大陸の各地に分布しています。インドネシアのジャワ島には広い面積にわたっての造林地があります。有名な木材なので、東南アジアはもちろんのこと、世界の熱帯各地で造林されています。このチークの天然の産地は、熱帯ではあっても、乾期と雨期がはっきりしている雨緑林帯と呼ばれる地域です。したがって、チークでも熱帯降雨林地帯に植えられたものからの木材は、品質的に劣るようです。
ニャトーと呼ばれる木材は、多数の樹種からのもので、木材の組織はよく似ていますが、材質的にはかなり幅の広いものを含んでいます。台湾、東南アジア一帯、さらに、ニューギニア、ソロモン群島にわたって広く分布しています。ニューギニア産のものにはペンシルシーダーという名がつけられていますが、これは米国産のエンピツビャクシンと呼ばれるものとは全く関係がありません。この類の木材の材面が、日本産の樹種では、マカンバなどとよく似ています。したがって、その代替材として好まれています。この類の木材の中には、樹種によっては、サポニンを多く含んでいて、木材を小さく削り、その水浸出液をつくって、それを振湿すると泡が沢山出て来てなかなか消えないものがあります。
この樹種は、メープルシュガーを採取することが知られています。これは樹液を煮つめてつくるものです。ハードメープルは1種の樹種ではなく、上述の樹種(シュガーメープル)とブラックメープル(A.nigrum)の2種をまとめて呼ぶ名です。 これらは、カナダの東部およびアメリカの中西部、北東部などを中心としてみられます。 日本ではサトウカエデというような呼び名があります。カエデの類の紅葉は、日本では文字通り紅くなるものが多いのですが、アメリカやカナダのカエデはどちらかといえば黄色あるいは黄金色になり、日本のそれと違った美しさがあります。
北米の中央部と東部でよく知られている中~大型の樹木です。カナダ南部から南は米国のノースカロライナ、西はノースダコタにわたって分布しています。森林の中で比較的早く成長する樹種です。公園や庭園に植えられることも多いので、名前がよく知られている樹木の一つでしょう。日本産のシナノキと同類で、樹木も、木材もよく似ています。五大湖地方では木材生産のためには、重要な樹種です。アメリカでは高級な蜂蜜を採取するために利用する樹木の一つとしても知られています。
木材の専門家でなくても、また、かなり年少の人々でも、このバルサという名前を知っているのではないでしょうか。この木材は、世界でもっとも軽いものの一つです。そして、模型飛行機の木材の部分にはこの木材が使われていることが多いのです。そういう点で、あるいは木材という意識なしに、バルサという名が、一般の人々に記憶されているのかも知れません。バルサは、現在ではかなりな量、張り合せて大きな板にして、それを飛行機の床材料として用いられていることもあります。さらに、液化ガスを運ぶ大型の船に絶縁材料としても大量に使われています。こんな軽くて、軟かい木材がと思われるかも知れませんが、比重が低く、したがって、木材の中には大量の空気が含まれていて、絶縁用としては、非常に優れており、また、同じような比重をもった他の材料に比べると、強さがあるからです。材木屋にある木材とは、一寸違った扱いを受けている木材といえます。 原産地は熱帯アメリカで、とくに中米の国々から世界の各国に輸出された歴史があります。現在では熱帯各地に植えられています。
北米大陸の東部の比較的高さが低い地域に生育している樹種です。アパラチア山脈の南部地域では、2000m位の所まで見ることが出来ます。フロリダ州の北部にも生育しています。ときには、ほとんど純林を形作ることがあります。オハイオ河およびミシシッピイ河渓谷地域に分布するものが最も大きくなるとのことです。処によっては高さ30m、直径 3.5mになるものもあります。
本ヒッコリーはカナダと米国の東部にかけて分布しています。また、メキシコにもあります。ペカンヒッコリーは種によって、主として米国の南東部からメキシコにかけて分布するもの、東部とカナダ南部にみられるものとがあります。
日本の市場でも、比較的目に触れることの多いアフリカ産の木材です。材面の美しさを利用した用途が多く、どちらかといえば、ローズウッド類と同じような用途に用いられています。アフリカのいわゆる赤道アフリカ地帯を、ナイジェリア南東部から、カメルーン、ガボンを経てコンゴ地域に分布しています。大径材でなければ出来ないようなものに使われます。何だと思いますか、和太鼓の胴に使うのです。小さい太鼓はとも角、大きなものになると日本では材料が得られないのです。はるばるアフリカから送られて来た木材が、アフリカのジャングルの中で使われずに日本の楽器にされ、お祭りに参加しているのも面白いことですね。
東南アジア、ニューギニア、オーストラリア、ソロモン諸島など太平洋地域などの熱帯雨林にみられる。アフリカにも同じ属のエミエン(A. congensis)があります。幹や枝に傷をつけると、牛乳のような白い液が流れてきます。
一時、わが国でも“ウォルナットブーム”があって、家具、内装、キャビネット用に、大量に使われたことがありました。このためかどうか、米国では、ブラックウォルナットの丸太の輸出を禁止してしまいました。今では、その流行も去って、あまり、この木材をかつて程みることがなくなりましたが、それでも、銘木としての地位はゆるがずにいるようです。ブラックウォルナットに、材面の非常によく似たものが同じ属の中に2種あり(J.california カリフォルニアウォルナット、J.hindsii ヒンズウォルナット)、市場ではクラロウォルナットと呼ばれています。これらは上述のブラックウォルナットと材面がよく似ており、区別することは一寸難しいでしょう。 ブラックウォルナットは、米国やカナダの東部に分布していますが、現在では、林地が農地に変わるなどの理由で(もちろん、木材としての利用が多いこともあり)、蓄積は非常に少なくなっています。また、クラロウォルナットは、西海岸のカリフォルニアに分布が限られています。
サクラの類は北米大陸に約30種あるといわれていますが、そのなかで、木材を生産できる大きさになるのはこの種位でしょう。ノヴァスコシアからミネソタ、南へはテキサス中部、さらに、東へフロリダにわたって分布しています。ニューメキシコ南部、アリゾナ西部にも天然分布があります。この種は、さらに、南へグアテマラ、ベネズエラ、ボリヴィアにまで分布しています。
パプアニューギニア、オーストラリア、ニューカレドニア、ニューヘブリデスなど、アジアの熱帯地域より東の地域にみられ、一層一種といわれています。パプアニューギニアに産する市場材のなかでは、色が黒色を帯びている木材は黒檀の類を除くと、このブラックビーンが唯一のものです。美しい木材ですが、パプアニューギニアのニューブリテン島の例ですと、胸高直径は1mをこえていますが、生育している数が少ないので、蓄積が少なく、市場材とはなりにくいでしょう。
ペルポックはインド、インドシナ、マレイシア、インドネシアを経てニューギニアに分布しています。日本ではペルポックという名前がよく知られていますが、これはマレイシアやインドネシアの名前です。この木材は、ボルネオからの木材が日本市場に目立つようになった頃から少量ですが、一定して輸入されています。
プロ野球の愛好者の方々は多いことでしょう。現在では、学生野球の場合には金属バットになっていますが、かつては、硬式野球の場合、バットは全て木製でした。そして、ほとんどのバットはこの属の樹種からの木材製です。日本の場合には、古い時代には多分、米国からのアッシュのバットが輸入されていたことでしょうが、そのうちに国産の同じ属のアオダモ(木材の場合にはF. lanuginosaおよび近縁の種類が含まれる)が使われるようになって来て、現在でもプロ用などの高級品にはアオダモが使われています。このアッシュの類は、野球のバットのみではなく、よく運動具に用いられています。かつてはテニスのラケットにも用いられていましたが、ご存知のように、もうこの数年の間に全くといってよい位木製のラケットを見ることがなくなりました。プロ野球のように、木材を使わなければならないというとり決めがないからでしょうか。市場で取扱われているホワイトアッシュの類の木材には上述の種以外にもグリーンアッシュ(F.pennsylvanica)が含まれているとされています。両者ともカナダと米国の北部および東部地方に分布しています。
面白いことに木材は酒と縁があります。古い時代には、もちろんプラスチック、金属、ガラスなどはないわけですから、酒などの液体を入れるものは木に頼るしかなかったのでしょう。日本ではスギが酒樽になり、欧米では、このホワイトオークの類がウィスキーなどの樽になりました。したがって、スギの木の香が酒の香りとなり、ウィスキーの香りにはこのホワイトオーク類の木材の香りとなっているわけです。かつて、テレビのコマーシャルに「当社のウィスキーを入れて熟成するためにホワイトオークの樹を伐採…」というナレーションとともに大きな樹が倒れていくシーンを写しているものがありました。覚えておられるでしょうか。オークという言葉はカシ類とナラ類を意味していますが、ホワイトオークは後者で、日本のミズナラによく似ています。 ホワイトオークと呼ばれるものは、1種類ではなく、10種類を越えます。その上、米国大陸の東部を中心として分布しています。同じ類の木材は、ヨーロッパにもみられます。
約30種あり、スリランカ、インド、マラヤ、インドシナ、フィリピン、ボルネオ、スマトラなどに分布しています。この類の木材の地方名はかなり違っており、その主なものを挙げると表のようになります。表でもわかるように、ホワイトメランチとホワイトラワンは違います。現在では、サバから輸入されることが多いため、この類の木材のことをメラピというサバでの呼び名で呼ぶことが多いようです。
日本に輸入されてくる熱帯材のうちアフリカ材の比率はかなり低いため、余程特別なことがないと、木材が目に触れたり、名前を聞いたりすることは少ないでしょう。そのアフリカ材のうち、日本で知られているものの代表の一つといえます。一般に、使われるときには、スライスドベニヤの形で洋風の家具に使われることが多いでしょう。この木材は、どちらかというと、マカンバあるいはサクラ類のような材面をもっています。多分、最初に、この木材の利用を考えた人達は、これらの木材を思い浮かべながら使っていたことでしょう。産地は西アフリカの熱帯降雨林地域にある国々で、現在、ガーナ、コードジュボワール、ガボンなどが主な輸出国となっています。
世界で古くから知られている銘木の一つで、ヨーロッパ諸国が中・南米諸国を植民地にしていた頃には、大量の天然のマホガニーがヨーロッパやアメリカへ輸出されました。したがって、古い文学作品を読むと、マホガニーの椅子とかテーブルなどがよく記述されています。マホガニーには、上述の種類の他に、S.mahagonii Jacq.が知られていますが、こちらの方は、西印度諸島に産し、かっては、こちらの方が良質とされており、マホガニーとして、多く話題にされました。しかし、現在では、ほとんど市場に出てくるようなものはなくなってしまいました。今日、木材として、われわれが入手出来るものは、S.macrophylla のみとされています。こちらの方は、中米から南米にかけて分布があり、世界の熱帯各地で、造林されています。したがって、現在、入手出来るのは、ほとんどがこの種でしょう。
マラスはフィリピン、インドネシアを経て、パプア・ニューギニアに産します。マラスは、パプア・ニューギニアの名前です。日本で知られているのは、パプア・ニューギニアから比較的まとまった量が輸入されるようになったからです。しかし、木材は、重硬で、乾燥すると欠点が出やすいので、あまり一般的に知られるようにはなっていません。フィリピンではアラン、インドネシアではヒアと呼ばれています。大木になり、高さが45m、直径が1mにも達します。
西アフリカの各地、アイボリーコースト、ガーナ、ナイジェリアなどが産地です。かって、アフリカから色々な樹種が輸入されて、日本の市場を賑わし、家具や建物の内装に使われたことがありました。多数の商品名が使われ、一時それらの木材の正体が分かりにくいことがありました。これも色々な名前で呼ばれた木材の一つです。
インド、ビルマからインドシナへかけて分布しています。成長が早いため、熱帯の各地域で重要な造林樹種となっています。そのため、かってミラクルツリーとよばれて、世界の林業界で話題となったことがありました。熱帯でパルプ工業を興すときに大量の木材を一定して供給できる造林樹種としてつねに話題になる樹種の一つです。
約13種があり、ビルマ、タイ、カンボジア、ベトナム、マラヤ、スマトラ、ボルネオ、ジャワ、スラウェシ、モルッカ、ニューギニアにかけて分布します。フタバガキ科のなかで、もっとも東にまで分布している属です。各産地によって名前が違っており、その国別の一覧表示しました。
この木材は日本でも古くから名前がよく知られています。太平洋鉄木という名前は、日本製です。一番目の種は東南アジアから太平洋地域一帯に広く分布し、一番西はマダカスカル島で、一番東はサモア島に及んで生育しています。二番目の種の分布は重なっていますが、範囲はより狭いです。パプアニューギニアではクウイラと呼ばれています。両者は良く似ていて区別するのは難しいでしょう。
メンゲリスは、ケンパスと同じ属の樹木です。マレイ半島、スマトラ、フィリピン、ボルネオ等に分布しております。熱帯アジアでは、最も樹高の高くなることでよく知られています。その高さは75mにも達します。飛行機で、森林の上を飛ぶと、ひときわ高く聳えていることでこのことがわかります。
この樹種は、元来は熱帯アメリカのものですが、熱帯アジアや太平洋地域の国々にいくと、庭園樹や、街路樹に植えられており、熱帯の景観の一つになっています。レインツリーとも呼ばれています。広い庭園に孤立して植えると枝の張り方は対象的で、広いので、大変美しくなります。この木材は、かなり以前から細工物にされ、かつてはさかんにハワイの土産物のボウルや人形などにされたものでした。その後、同じようなものがフィリピンで作られ、東京辺のデパートのフィリピン物産展などで、よくアカシアという名で売られてきました。このモンキーポッドを、細工物にすることは、最近では、アジアの熱帯地域ではかなり広くみられるようになりました。多分これは、この樹種が人里に近い処に植えられているため、材料として入手し易いことがあったことから、このような細工物にされるようになったのではないでしょうか。 かつて、どの位の期間だったかはっきりしませんが、日本でもこのモンキーポッドを加工していたことがあったようです。
タイ、マライ、スマトラ、フィリピン、ボルネオなどに分布します。市場でライトレッドメランチと呼ぶのは、Shorea属のRubroshorea亜属の樹種のうち、赤色系でしかも淡色の木材のグループです。したがって、それが、植物の分類とは必ずしも一致していませんので、むしろ商取り引き上のグループといえばよいでしょう。
インド、インドシナ、マラヤ、スマトラ、ボルネオ、フィリピン、ジャワ、セレベス、チモール、ニューギニア、ソロモンなどにわたり広く分布しています。陽樹で成長が早いので、熱帯の多くの地域で造林されています。森林を伐採した跡地に大面積にわたって一斉に生えていることが、しばしばあります。造林樹種としてはよく知られてはいますが、木材としてはあまり高い評価をされていません。
属としてはマラヤ、フィリピン、ボルネオ、スマトラなど、さらにニューギニア、ソロモン群島、フィージーなどに分布し、数種が知られていますが、もっともよく知られているのは上記の種です。マラヤやボルネオなどでは、かなり大量に得られるので、フタバガキ科以外の樹種としては、比較的早い時期から輸出されており、ヨーロッパの木材市場でもこの名前は広く知られております。非フタバガキ科の木材で、日本の市場でも名前の知られているものとしては、横綱格といってよいでしょう。フタバガキ科の木材がどちらかといえば、合板あるいは建築用材に用いられているのに対し、蓄積が少ないこともあって、家具、内装用を中心にして供給されてきています。今では輸入量も少なくなっているのではないでしょうか。この木材を、とくに丸太で取り扱うと内樹皮にある厚壁の繊維がバラバラにはがれて、皮膚に刺さり、それが原因で炎症をおこすことがあり、一時大きな話題となったことがあります。
モルッカ諸島から太平洋諸島が原生地とされていますが、成長が非常に早いため熱帯の早成樹種の一つとして注目されるようになりました。とくに、熱帯アジアから太平洋地域にかけての国々でおこなわれている造林プロジェクトで、植栽されています。
レッドオーク類として取り扱われる種は、上述の種のほかにもあり、代表的なのは次のようなものです。スカーレットオーク(Q.coccinea)、ブラックオーク(Q.velutina)、ピンオーク(Q.palustris )、ウイローオーク(Q.phellos )、シュマードオーク(Q.schmardii ) レッドオークは、米国東部、すなわち、ミシシッピー河渓谷の下流地帯、大西洋岸地域、およびカナダの最南東部に分布しています。レッドオーク類が多く生産される地域は、テネシイ、アーカンソー、ケンタッキー、モンタナなどの各州です。
上述した3種が、もっともよく知られているローズウッド類の木材ですが、さらにこの属の数種が、ローズウッドとして知られています。ローズウッド類は、世界的によく知られている銘木の一つです。しかし、最近では、一寸色が似ている他の樹種に「……ローズウッド」のような名前をつけていることがあります。しかし、本物のローズウッドはこの属の木材だけです。唐木と呼ばれる木材の一つで、もっとも珍重されてきているのは、D.cochinchinensis です。
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