世界に誇れる日本の森林の美しさを、知ってほしい。
MORIMORIネットワーク副代表で、林野庁の森政審議委員を務めた経験もお持ちの芳村真理さん。
国内外の森林をめぐり、地元の方々との交流を続け、多くの人々に森林のすばらしさを伝えています。
日本の森、木づかいに対する熱い思いを語っていただきました。
「各地の森林を歩いていると、不思議な光景に出合います。山中に木の看板が立っていてテーマパークみたいだったり、渓谷の橋が水色や赤だったり、山間の参道がコンクリートだったり……。これにはショックを受けました。ちっともステキじゃないし、せっかくの自然の美観を損ねるから“やめて~!”って叫びたくなりました。その一方で、すばらしいところもあるの。
富良野の倉本聡さんのご紹介で、普通は入れない東大の演習林へ特別に入れていただいたことがあるんです。そこは、一足足を踏み入れると見事な大鹿を始め多くの野生動物が生息し、又、倒木は動かさず、自然体系そのままの原生林が広がっている。“すごい! 一大交響楽!”と思いました。光と色の大シンフォニーをフルオーケストラで奏でている世界、生きとし生けるものが共生している自然がありました。
国有林、民有林、木材を生産するための森、木の実や山菜などを採る昔ながらの森……さまざまな形態の森があります。日本人は山間の斜面にも工夫していろいろな樹種を植えてきましたし、伐ったら植えることを繰り返してきました。そして、木に感謝の気持ちを持って、神仏のように扱ってきました。この豊かで、歴史ある日本の森を、多くの皆さんに認識してほしいですね。
アートディレクターの北川フラムさんが総合ディレクターを務める“大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ”は、すばらしいと思います。新潟県十日町市の里山を舞台に、世界各国の人のアート作品を展示して、各地からたくさんの人達が集まって地元の人々と交流しているんです。林業以外で森を見て、森を知るいい機会です。こんなことが増えていくと、日本の森への認識も深まるのではないでしょうか」
「木を使うことはとても大事ですが、なんでもただ木でつくればいい、ということではないんです。もともと、自然や木はアートです。浅はかなアート感覚でものをつくると、グチャグチャになってしまう。ステキでなければ意味がないと思うの。
日本で初めてFSC森林認証を得た三重県の速水林業の速水さんともお話ししたことがあるんですが、FSC認証製品にはマークがついています。これはブランド化であり、トレーサビリティですよね。お客様も興味を持つんです。そこで大事なのは、CO2削減のための義務だから、というのではなく、お金を出しても買いたいという、デザインの付加価値です。もともと国産材はいいものです。そこに、“おしゃれ”“チャーミング”“ステキ” “ハッとする” といった魅力があれば、本能的に目が行きますよ。
それから、国産材という言葉も、例えばエコウッドとか、堅苦しくない、もっと親しみやすい言い方にしたらどうかと思います」
「日本は、世界に誇れる森林国です。日本の森は本当にきれいなの。世界各地の森林を見てきて、つくづくそう思います。
例えば、アラスカの温帯雨林帯は非常に巨大な森なんですが、4種類ほどの樹種が目立ちます。一方日本は、ちょっとその辺を歩いただけでたくさんの種類の木を見かけますよね。日本列島の森林の特徴は、変化に富んだ美しさを持つこと。私たちは宝物の自然の中にいるんです。こんなに恵まれた国はないのに、それをおろそかにしています。人が手がけた木を大事にすること、それは文化を守ることです。この美しい森がもっと認識され、評価されていいと思います。
国が環境や森林の重要性を問う時、わかり易い呼びかけを続けて欲しいですね。森林の価値を身近に感じてもらう為には、長いレンジで計画を立てたPRを続けることが必要ではないでしょうか。超党派の若い政治家にも、ぜひ力を発揮してもらいたいですね。
私達が世論として後押しすることも、とても大切なことです。そして、すばらしい日本の森林、木の文化を未来に伝えていかなければなりません」
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Coordinator
モデル、女優として活躍した後、「小川宏ショー」出演を機に司会の領域を広げ、「夜のヒットスタジオ」「ラブラブショー」「3時のあなた」「料理天国」などで不動の人気を得る。現在、MORIMORIネットワーク副代表、財団法人山縣有朋記念会館評議員、NPO法人21世紀やま・もり再生ネット理事、財団法人福澤記念育林会理事、森林セラピー研究会幹事、NPO法人元気な120才を創る会理事。
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