読む

読む 木のある暮らしと私

蒔き割り体験

筋肉痛マン さん(茨城県)


職場の後輩が、木をたくさん使った新居を作っているところで、その新居には薪ストーブを導入することになっている。薪を調達する必要に迫られていたところへ、職場の先輩から、「ウチの実家は山があるから、杉を間伐したのでよければ、どんどん薪にして持っていっていいよ」とお声がかかった。 後輩は薪ストーブ使用の同志と、何回か間伐材の薪割り作業をやっている。今回は私にも声がかかり、前から、山の手入れに関心があったので、やらせてもらった。

薪割りは、斧を振るってやっていく。私は錠を使って大きな薪を小さくしたことはあるが、斧は使ったことがない。斧は重い。使い方のコツを掴むのに、1時間位かかった。 まず、薪は切り株などの固いところに立てる。丸太は切り株側(根元側)を上に向ける。足はやや広げ、斧を振るって勢いがつき過ぎて戻った時に備えて、怪我を防ぐようにする。 斧は重いものなので、基本的には斧の重さを利用するが、最後まで割るために、割った瞬間に腰を落とすなどして垂直に振り切る。垂直に落とさないと回転して、自分の足などに戻るので注意がいる。斧は、左腕で使い、右腕(利き腕)は添えるだけにする(これが出来なかったので、今右腕がかなり痛い)。 割る時木片などが飛び散るので、人が離れている状態で行う。自分にも跳ね返ることが考えられるので、これにも注意が必要だ。 本当は、薪は堅い木が望ましいという。今回の間伐材は杉であるから、軟らかい。焚き付けには向いているが、火の持ちが良くないそうだ。しかしながら、切り倒したまま放置しておくくらいなら、薪にしてもらった方が良いとのことで、ありがたくいただく。 20年くらい育った杉である。木材がちゃんと評価されているのなら、間伐材であっても、用材になっていたであろうに。そう考えると、ちょっと複雑な気分になる。昼食のときなどに、大先輩やそのお父上の話を伺った。 "戦後まもなくの頃は、薪が入手困難であり高く売れたので、松・などを植えたが、エネルギー革命で価値が大きく低下してしまった。 次に、杉は様々に利用できて市場価値が高いと思って杉を植えたところ、価格がどんどん下がりこれも割に合わなくなってしまった。それでも森を荒れたままにしておくのは忍びないので、とりあえず間伐だけはしている。ただ、間伐しても使い道がないし、お金にもならない。放置せざるをえない。今国、切って倒してある木を薪にするという話で、何がしかに使って貰えるのであれば、ありがたいことだ。まだ林内の日当たりが良くないので、もう少し間伐したいと考えている。" 作業は、15時半過ぎに終わりにしたが、薪になっていない丸太がまだまだ転がっている。どのくらいお役に立てたかわからないし、かなり筋肉痛になったが、楽しい体験だった。 この森の近くで、樫を切り倒したものもあるので、近い内に薪にしようという話があるそうだ。樫は堅いので、薪には向いているが、斧では割れないので、樫を打ち込んでウオーハンマーで割るのだそうだ。いったいどんな薪割りになるのだろう。